国内助成プログラム
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財団開催イベント
情報掲載日:2026年10月16日
※この記事は広報誌「JOINT」に掲載したレポートの拡大版です。
執筆 ◉ 林 知香(プログラムオフィサー)
2026年7月27~28日の2日間にわたり、秋田県南秋田郡の五城目町にて、2026年度「国内助成プログラム」同窓会企画(※)を実施しました。五城目町は人口減少と高齢化が進む地方町村でありながら、多様な主体によるまちづくりの挑戦が次々と生まれています。大変注目される地域とあって、今回の参加募集は締め切り前に定員に達するほど強い関心が寄せられました。
※同窓会企画とは、「国内助成プログラム」の過去・現在の助成対象者同士が、共に学び合ったり交流したりすることを通じ、年度を超えた関係性を育むだけでなく、同窓生としてよりよい地域づくりに向けた動きを共創していくためのネットワークづくりを目指すものです。今回の企画は「国内助成プログラム」のテーマにも共通する内容であることから、特定課題「人口減少と日本社会」の助成先との合同企画として、急遽「同窓会企画」の一環として秋田県五城目町でのフィールドワークと意見交換会を実施する運びとなりました。
2025年3月に実施した前回の沖縄での同窓会に続き、今回も助成先の方に旅程を組んでいただきました。企画を提案してくださったのは、2024年度特定課題「人口減少と日本社会」の助成先である高橋今日子さん(D24-SR-0024:「Time UseとTime Value から提案するウェルビーイングな地域デザイン」
)です。現地参加13名、オンライン参加2名の計15名が全国各地から集まり、「ウェルビーイングな地域デザインを考える2日間 研究セミナー」が始まりました。
なお、今回の同窓会は、高橋さんの所属先の一つである秋田国際教養大学のプロジェクト、秋田COI-NEXT公開研究セミナー「ウェルビーイングを高める地域デザインプロジェクト from GOJOME」の一部を兼ねて実施されました。
高橋さん率いる「ウェルビーイングな地域デザインプロジェクト from GOJOME」チームは、秋田魁新報社が主導する、秋田ならではの「幸せ」を考える「Whats’up!? AKITA~みんなの幸せアゲアゲProject~
」に共同参画しています。高橋さんチームは同社のプロジェクトで実施する4つのアクションのうち、アクション2にあたる、日々の暮らしにおける「大切な時間」をテーマに、秋田の「幸せ」を考える大規模誌面調査と写真応募キャンペーンを主に担当されています。
2日間にわたる研究セミナーでは、高橋さんから「ウェルビーイング」について議論の土台となる基礎知識を共有していただいたほか、地域で暮らす方々をお招きしてのゲストトークや、ユニークな取り組み先を見て回るフィールドワークも企画してくださり、五城目の暮らしやまちづくりの工夫の現状、課題について関係者の皆様にお話をうかがいました。参加者全員がそれぞれの立場から「地域における豊かさとは何か」「ウェルビーイングを支える地域デザインとは何か」について考える2日間となりました。
DAY1
五城目町地域活性化支援センター(BABAME BASE)
JR秋田駅からマイクロバスに乗って一路、到着したのは「五城目町地域活性化支援センター(BABAME BASE)
」です。コミュニティ活動やレンタルオフィスとして活用されているここは、2013年3月に廃校となった旧馬場目小学校跡を利用しています。
解放感溢れるフロアに着席すると、後半のクロストークに登壇するお二人による自家製の胡麻アイスと玄米茶をいただきながら、自己紹介タイムにて今回の参加動機をシェアしました。その後、「BABAME BASE」の管理を行っている「一般社団法人ドチャベンジャーズ
」の竹内健二さんから、廃校後の学校が地域の拠点「BABAME BASE」として再生されていく過程についてお話していただきました。
続いて高橋さんからは、ウェルビーイングの概念がどのように登場し、世界でどのような議論がなされてきたのかについて講義がありました。

マーケティング用語やおしゃれなイメージで一人歩きしがちなウェルビーイングですが、高橋さんの議論はそうした趨勢とは一線を画すものです。財産や肩書などの所有「もつこと(to have)」ではなく、自身の在り方「あること(to be)」をウェルビーイングの土台として捉えること、また、自身が「あり続ける(being)」ために経済的な豊かさだけではなく、もっと広い意味で豊かさを捉えることがウェルビーイングの議論で大事にされるべきだと学びました。そうした概念を取り入れ、地域の豊かさを人口や経済指標だけではなく、人びとが「どのような時間を過ごし、その時間にどのような価値を感じているのか」という視点から豊かさを捉え直そうとしているのが高橋さんのプロジェクトです。
後半は、地域で自分らしい暮らしを営んでいるお二人、胡麻油「YOUALL」を作り販売している小澤瑞紀さんと、無農薬無肥料のお米「ゆきのこまち」を栽培している8代目農家の坂本寿美子さんにお越しいただき、高橋さんとのクロストークが行われました。現在の生業にたどり着くまでの半生や、日々の実践とその思いを丁寧に言葉に紡いでくださいました。クロストークに耳を傾ける時間そのものが大変豊かなものに感じられ、地域に根差した「小さな営みの大きさ」を感じる時間となりました。
地酒居酒屋なべ駒

夕食を兼ねた懇親会は、五城目町で長年続く居酒屋のなべ駒
さんへお邪魔しました。入り口をくぐると、壁や天井一面に貼られた日本酒のラベルに圧倒されます。ここで飲める日本酒は、他の飲食店や酒屋では味わえない貴重な地元のものが沢山あるそうです。私たちがいただいたのは、五城目の酒蔵がつくる「一白水成」。
また、クロストークに登壇いただいた坂本さんが「ゆきのこまち」で作った日本酒も、お店の大将のご厚意で持ち込みを許可いただき、参加者みんなで堪能しました。さきイカの天婦羅や、はんぺんの納豆挟み、馬刺しなど、大将が珍しい料理をたくさん用意してくださいました。
地域で活躍する人たちの憩いの場となっていることがよくわかる、温かいおもてなしでした。
