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JOINT38号 特集「ケアと語り」

特集「ケアと語り」


ケアに関する鼎談シリーズも第三回を迎えました。ひとまず最終回となります。

誰もが一度は耳にしたことがあるけれど、
その意味は一言では言い表せないほど多義的で、
さまざまな人によって、さまざまな場面で使われる「ケア」という言葉。

「ケア」について語るこのシリーズの目的と期待は、大きくふたつありました。
ひとつは、研究や実践の場に身を置き、「ケア」に深く関わってきた方々との話を通じて、
その視点や価値観がとても多様だという実態を提示していくこと。
ふたつめは、鼎談の参加者だけでなく、その議論を読んだ読者の皆様に、
それぞれが持つ「ケア」についての考えを、さらに広げ、深めていただくことです。

最も身近な存在に着目した第一回の「家族」。
そこから一歩外に踏み出すような、第二回の「場作り」。
こうして段階的に俯瞰のレベルを上げてきましたが、
今回はさらに抽象的な「いること」がテーマです。

今回も「する/される」という関係を越え、他者との関係性により強く焦点をあてました。
誰かが誰かに「する」ということ、専門家によって提供されるサービスではなく、
普通の人々(つまり素人)によってケアが「ある」状態。
具体的な行為としては、「話す」ことよりも、「聞く」ことをイメージしました。
能動的な介入ではなく、もっと受動的な─
あるいは「中動的な」-「ケア」とも表現できるかもしれません。

第一回では、「ケアに満ちた民主主義社会」という表現がありました。
「自分だけ」という利己主義ではなく、
「わたし」を通じて他者、地域コミュニティ、社会を捉え直すことに、
ケアが豊かで暮らしやすい社会につながるヒントがあるのではないでしょうか。

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JOINT38号では、エジプトで公民館づくりを行う南信乃介さんと西山佳孝さんのお二人にインタビューを行いました。こちらもご一読ください。

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