HOME  >  2018年以前の助成情報  >  国内助成プログラム  >  2015年度国内助成プログラム  >  2015年度国内助成プログラム東日本大震災特定課題選後評

選考委員長 足達英一郎

東日本大震災特定課題の狙い

現在トヨタ財団は、東日本大震災の被災地復興支援を目的として、「復興(災害)公営住宅におけるコミュニティ作りの支援」をテーマに、2014年度から助成を行っている。このテーマを設定している理由は次のようなものである。

●現在、応急仮設住宅に入居していた被災者が、終の棲家となる復興公営住宅への転居が進んでいる。
●被災者は、避難所、応急仮設住宅、更には復興公営住宅へと住居を移動する中で、その家族関係・人間関係に大きなダメージを受けている。
●しかも、復興公営住宅への入居する被災者の高齢化率は高く、経済力にも乏しい。

これに鑑み、2014年度東日本大震災特定課題では、復興(災害)公営住宅におけるコミュニティ作りを行うNPOへの助成を実施し、効果的なコミュニティ形成ならびにその支援の方法をとりまとめ、復興公営住宅の住民や行政や社会福祉協議会、NPOなどの周囲の支援団体に対して発信した。

2015年度においては、引き続いて「復興(災害)公営住宅におけるコミュニティづくり」をテーマとしながらも、入居者が自らによってコミュニティづくりを行うことを強調している。これは、外部団体による支援が徐々に低調になってきていること、また被災地の現場でも発災から5年が経過して、今後は入居者が自ら何かをやらなければならない、という意見が広く共有されるようになったことによる。2014年度と2015年度の支援のイメージの違いをイメージ化すると次のようになる。

公募と選考について

2015年11月2日から11月27日まで公募を行い。現地復興関係機関を通じて、被災地に向けた公募情報の周知を行った。その結果、被災地で実際に復興支援を行っているNPO団体を中心に13件の申請があり、12月24日に選考委員会を開催し、5件の案件を理事会に上程することとした。申請案件の評価の際には、復興(災害)公営住宅入居者とコミュニケーションをとりながら、彼らのイニシアティブを徐々に引き出し、コミュニティづくりに関わる入居者の層の厚みを増すことができるのか、並びに周囲と情報を共有するための報告会の企画力などの発信能力の高さといった点を重視した。

応募件数・採択件数の県別の分布は次のとおりである。

岩手 宮城 福島 その他
応募件数 2 7 2 2 13
採択件数 1 3 1 0 5

採択案件とその特徴

採択案件とその特徴は以下のように整理できる。

なお、いわき(福島県)、釜石(岩手県)、石巻(宮城県)といった大規模な復興(災害)公営住宅が完成する地域において活動する団体には、重点的に助成を行っている。

プログラムの今後について

 被災地における復興(災害)公営住宅の建設の進捗度は次のようなものと予定されている。建設がほぼ完了するのは、発災から7年過ぎた2018年度である。発災5年後には、復興(災害)公営住宅の建設・入居が完了していた阪神・淡路大震災と比べても、2〜3年はペースが遅い。この点に鑑みると、トヨタ財団が今しばらく復興公営住宅におけるコミュニティづくりの支援を続け、それによる先進事例を周囲の復興支援団体に対して発信・共有する意味は大きいと考える。

<参考:復興(災害)公営住宅の累計建設数>

2016年度 2017年度 2018年度 2019年度
岩手県 3,391戸(59%) 5,074戸(88%) 5,346戸( 93%) 5,771戸(100%)
宮城県 9,927戸(62%) 13,909戸(87%) 15,094戸( 95%) 15,279戸( 96%)
福島県 3,799戸(49%) 6,203戸(80%) 7,687戸(100%)
合計 17,117戸(60%) 25,186戸(88%) 28,127戸( 98%) 28,737戸( 98%)
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