公益財団法人トヨタ財団

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JOINT43号 WEB特別版「アルムナイネットワークの形成に向けて」

アルムナイネットワークの形成に向けて
国内助成グループプログラムオフィサー(PO) 武藤良太×鷲澤なつみ


国内助成グループでは、国内の市民活動団体やNPO等を対象とする公募型の助成プログラムを開始した当初より、「市民性」の追求を助成活動における柱の一つとして考え、“市民意識”を醸成することを目的にプログラムを企画・運営してきました。実際に助成の対象となるのは、プロジェクト(事業)となりますが、私たちが大切にしていることは、必ずしもプロジェクトが持続的に展開されていくことだけではありません。

重要なのは、取り組みそのものが中長期的な時間軸の中で、形を変えながらも、さまざな人の手でその想いが脈々と周りの人々や後世に引き継がれていくこと。そしてそこに関わる人達自身が、次なるチャレンジの呼び水となり、地域の中に多様なチャレンジの連鎖を生み出して行く存在となっていくことだと考えます。

そのような存在がたくさん社会や地域の中に育まれていくことが、誰もが社会や地域と向き合い、自分も何かできるかもしれないという人をつくっていくことに繋がっていくのではないでしょうか。このような動きを生み出していくことも財団の重要な役割だと思っています。

アルムナイネットワーク(一種の同窓会的ネットワーク)とは、そのような存在を各地に育むための、ひとつのチャレンジであると感じています。国内助成グループでは、これまでも年度ごとの交流機会については、不定期ながら研修や報告会という形で実施をしてきましたが、年度を超えた交流機会は、その必要性は感じていたものの、事務局のリソースやキャパシティの問題もあり、なかなか実施することができませんでした。

しかし、コロナ禍の影響により、ここ数年間はオンライン上での交流が主となり、対面での交流機会を満足にもうけることができなかったことを受け、このタイミングで年度を超えた同窓生のネットワークを構築しないで、いつするのだ! との想いから、短い助走期間を経て、走りだしてみることにしました。

とはいえ、「ネットワークをつくります!」と言っても、すぐにみんながみんな参加してくれるわけではありません。ネットワークをつくるためにはやはり多くの時間を要します。そこで、まずはアルムナイネットワークの入り口となる「同窓会」と称した企画を不定期ながら開催し、そこに参加いただいた皆さんを対象に、ネットワークへの参加希望やネットワークでやってみたいことなどについて、情報収集を図っていくことにしたのです。

この「同窓会」企画では、世代や属性を超えて多様な人と人との出会い、さまざまな価値観や考え方に触れることや、各地で取り組まれている多様なチャレンジやその結果を見聞きすることへのニーズがこれまでも高かったこともあり、そのような交流や学び合いの時間をできる限り持てるように意識しながら企画を立てることにしました。


以上のような考えに基づき、過去10年ほどの助成対象先にご案内を出したところ、2023年3月18日に実施したエクスカーションには40名近い方々にご参加いただき、参加されたみなさんの感想をお聞きしながら、このような場の必要性を事務局として改めて強く感じる機会となった次第です。

本特集記事はそんなエクスカーションの記録であり、感想や意見を集めてコラージュしたものですが、これらを参考に、将来的にはさらにネットワーク参加者からの持ち込み企画や、「やりたい!」を応援する場としても機能させていくことができればと考えています。

武藤良太×鷲澤なつみ

公益財団法人トヨタ財団 広報誌JOINT No.43掲載
発行日:2023年10月19日

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