公益財団法人トヨタ財団

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新年のご挨拶

新年のご挨拶

公益財団法人 トヨタ財団+会長 小平 信因

この度、小平信因前会長の後を受けて、トヨタ財団会長に就任いたしました犬塚 力です。1974年に設立された当財団が設立50周年を迎え、次の50年間に向けて歩みを始める、まさにその年に就任したことを光栄に存じます。皆さまには平素よりトヨタ財団へ多大なるご支援、ご指導を賜り、厚く御礼申し上げます。

私は1982年にトヨタ自動車に入社した後、北米での勤務を挟み、商品企画や人事、経営企画等の分野を経験してきました。2015年からはトヨタファイナンシャルサービス、2019年からは中部国際空港の社長をそれぞれ務めてまいりました。現在はトヨタ財団に加え、名古屋フィルハーモニー交響楽団の理事長も兼務しています。また、2019年にはNPO法人「SCIフォーラム(Sustainable Co-Innovation Forum)」を立ち上げ、その代表理事も務めております。 このように営利企業と非営利団体の双方でキャリアを積む中で、両者の違いを超えて共通する重要な点に気づかされました。

一つ目は、「組織は何のために存在するか」という点です。トヨタでの経験を通じ、私は「企業の最大使命は社会課題の解決」であると学びました。トヨタの歴史を振り返ってみれば、自動織機の発明、日本における自前の自動車産業の立ち上げ、環境に優しいハイブリッドカーやFCVの発売と普及など、正に課題解決の歴史そのものです。もちろん営利企業である以上、利益の獲得は不可欠ですが、社会課題に正面から向き合い、組織一丸となって解決に尽力し、その結果として利益を得るという順番を間違えてはなりません。この点は、営利企業も財団やNPO等の非営利団体も、目指すべき本質は共通しています。

二つ目は、組織を動かし、社会を動かすには「高い志と情熱」が欠かせないという点です。トヨタ在籍時、私は孤独死や不登校、若者支援、途上国支援、地場産業の活性化といった課題に献身的に取り組む方々を多く知ることができました。その志と情熱には、心が震えるほど感動しました。今後さらに求められるのは、同じ志を持つ営利企業と非営利団体が手を取り合い、共通の課題解決に取り組むことだと思います。更には行政を巻き込んでいくことも欠かせません。こうした協働・共創こそが、社会全体にインパクトを与え、より良い方向へ動かしていくと信じています。

近年の世界情勢を見れば、変化の激しさと速度には驚かざるを得ません。デジタル化や生成AIの進化、人口動態や国際環境の変化、気候変動、更にはコロナのような世界的な感染症の拡大などから生まれてきた新たなエネルギーに対し、これまでの社会構造が応えきれなくなっているのは明らかです。次なる社会の骨格がどうあるべきか、様々な議論がありますが、トヨタ財団としても助成活動を通じて、新たな社会作りの鍵となる成果や好事例を創出し、発信したいと考えます。そのためにも、社会課題解決のための高い志と情熱を持った多くの人たちが、さらに積極的に当財団へ応募してくる、そして助成を受けるという流れを加速させていきたいものです。

トヨタ財団の次の50年への歩みに対し、皆さまの厳しくも温かなご指導、ご鞭撻をいただければ幸いです。

2026年1月
公益財団法人 トヨタ財団
会長 犬塚 力

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