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トヨタ財団について

理事長着任のごあいさつ

この度、トヨタ財団理事長に就任いたしました。数々の要職を歴任され、それぞれの場で素晴らしい実績を挙げていらっしゃる遠山敦子前理事長の後を継ぐことになります。遠山前理事長は卓越した指導者であると同時にすぐれた人格者であり、その後任ということで、光栄であると同時に、身の引き締まる思いです。

私は、東京大学で大学執行役・副学長を務めていますが、歴史学者が本業です。現在は、30年後の世界を見据えた世界史の枠組み、解釈と叙述はどうあるべきかという課題に取り組んでいます。歴史学者の仕事は過去を明らかにすることではないのかと訝しく思われるかもしれません。しかし、「未来」が私の研究テーマです。人間社会の変化に伴って、人々が求める過去についての知識も変わって行きます。私は30年後の人々が地球の住民として必要とするだろう世界の歴史を、今から考え、生み出し、育てて行きたいのです。言わば、次世代のための世界史の研究です。

トヨタ財団の設立趣意書には、世界的視野に立ち、長期的に幅広く社会活動に寄与すること、時代の要請に対応した課題を取り上げ、その研究と事業に対して助成を行うことがうたわれています。この方針に従って、財団は、1974年の設立当初から、国際性、市民性、先見性という3つの理念を掲げ、特色ある助成事業を行なってきました。振り返ってみると、東南アジア諸国を対象とする国際的な助成、まだ揺籃期にあったNPOへの助成などは、日本社会の国際化、市民セクターの台頭を予見して生み出されたまことに意義深い企画だったと思います。これまでの財団の活動は、現在の私の研究における取り組み、すなわち未来を構想することを、社会的実践の場ですでに実現していたともいえるでしょう。今後は理事長として、財団の理念とこれまでの実績を大切にしながら、30年後の地球と人類社会にとって有益な、未来のための助成活動をさらに積極的に展開してゆきたいと考えています。
皆様方の力強いご支援とご協力をどうぞよろしくお願いします。

2019年7月
公益財団法人 トヨタ財団
理事長 羽田 正

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