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プロジェクト成果物レポート

プロジェクト成果がモンゴルのテレビ番組で放映されました(研究助成プログラム)

情報掲載日:2017年4月25日


プログラム研究助成プログラム
カテゴリNOctg01 ctg06
『DiVE magazine』

撮影の様子

助成対象プロジェクト「地域社会における文化遺産の新たな価値の発見と発信―モンゴル国ハラホリン郡における文化遺産の地域参加型活用の実現に向けた基盤の構築を目指して―」(代表者:清水奈都紀氏、D13-R-0612)より、プロジェクト成果がモンゴルのテレビ番組として制作・放映されたとの報告が届きましたのでお知らせいたします。



本プロジェクトは、文化遺産に対する住民独自の知識である「住民の知」を調査研究により発見し、その成果に基づき博物館で展示会を開催して住民自ら解説し発信することで地域参加型による文化遺産保護を実現しようと、2015年から2年間にわたりモンゴル国ウブルハンガイ県ハラホリン郡において地元の住民や専門家と共に実施してきました。このたび、この成果を地域に普及するために地元でテレビ番組が制作され、現地の大晦日にあたる2017年2月26日に放送されました。
この番組は、本プロジェクトの協働機関であるカラコルム博物館が出資し、地元テレビ局ハラホリン・テレビと共同で制作したものです。博物館の事業やハラホリンの文化遺産を地元住民に普及啓発することを目的として2017年に4本の番組放送が予定されているシリーズ番組で、その初回となるのが今回の放送でした。 

番組制作のため、改めてプロジェクト参加者を代表する9名の住民と地元関係機関の専門家3名が博物館内に作られたスタジオに集められ撮影がおこなわれました。
番組冒頭では、プロジェクトの目的やこれまでの活動が動画や写真とともに紹介されました。また、住民参加のもと文化遺産保護をおこなうことの意義や、我々が注目している「住民の知」とはいかなるものであるのかといったことが解説されました。
さらに3名の住民が、土地の伝承や皮革加工技術といった、自身が保持する文化遺産に対する知識についてインタビュー形式で語りました。また、プロジェクトへの参加意義についても話題が及び、展示解説における国内外の見学者との直接的な交流が刺激となって文化遺産への意識が向上したことや、伝統技術を活用した土産物を製作・販売したことで収益を得たことなどがあげられました。
最後に館長が、この2年間で本プロジェクトが文化遺産保護や地域振興にもたらした成果を認め、今後地域の事業として継続していくことを宣言しました。2017年度、本プロジェクトはカラコルム博物館を中心とする地元の文化遺産関係機関が主体となって活動計画を策定し、地元の予算によって実行されています。 

当初は地元機関との目的意識の共有や協働関係構築に苦心した本プロジェクトですが、博物館の発案でこのような番組が制作されたことは、文化遺産の保存や活用、継承において住民の果たす役割の重要性が地域で認識されつつあることを示しており、2年間協働してきたことの手応えを感じています。
ただ、同時に課題も見えました。本プロジェクトでは有形や無形、動産や不動産といったカテゴリーや年代にとらわれない住民の認識に基づき、これらの枠組みを取り払って文化遺産を捉え直しました。そのことにより、「地域の文化遺産」として多様な文化遺産を横断的に保存活用していくという方針が定まりましたが、一方で住民にとって身近で見学者からも受けの良い遊牧関連の無形文化遺産が重視され、遺跡や景勝などがなおざりとなる傾向がみられます。本番組においてもその傾向が顕著に現れていました。遺跡等は専門家が調査研究し、保護すべきものという考え方も根強いなか、研究としてどう進めるべきなのか、地域が求める形とはどのようなものなのか、文化遺産保護のあるべき姿とは何なのか。住民や地元の専門家、そして研究者が共に取り組むべき課題は多く残されています。
しかしながら、深夜にまで及んだ撮影に緊張しつつも楽しんで参加してくださった住民の方々の姿から、本プロジェクトが地域に受け入れられ、地域の事業へと変化しつつあることが実感され、研究活動の成果を改めて確認することができました。

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