助成事業について
ビジョン2010
トヨタ財団 ビジョン 2010 -よりよい未来を構築するために
トヨタ財団は、1974(昭和49)年の設立以来、「人間のより一層の幸せを目指し、将来の福祉社会の発展に資する」ことを目的に、生活・自然環境、社会福祉、教育・文化等に関する研究ならびに事業に対してさまざまな助成を行って参りました。
近年、財団を取り巻く社会の状況や環境は大きく変わりつつあります。しかしながら、そうした変化に追随的に対応するのではなく、変わりゆく社会の現実を深く見つめ、その中から将来への可能性となる萌芽を積極的に見出し、公共の福祉と社会の発展へとつなげていくという民間財団としての役割は、設立当初から変わらぬものと信じております。
このたび、私どもは公益財団法人として再出発することになりましたが、民間助成財団としての初心を忘れず、勇気をもって新たな一歩を踏み出していく所存です。
困難な時代にあって
21世紀の最初の10年を終えようとしている今、世界は20世紀後半以降の大きな変化を経験しつつ、これまでとは異なる新たな局面に直面しています。科学技術の進歩とグローバル化の急速な進行の一方で、地球規模の環境問題の発生、財政・金融危機の頻発、安全な水・食料の不足、国際テロや大量破壊兵器の拡散など、人間の安全を脅かすだけでなく、人間の存在そのものへも大きく影響を与える問題が多数出現し、それらへの取り組みが求められています。
それぞれの問題に取り組んでいくためには、活動領域(地域社会、国、国際社会)と活動主体(政府のみならず、企業や民間非営利組織など)を適切に選び取り、地域社会や国の背後にある歴史やこれを支える文化に配慮しつつ、それらの社会を形成していくための新たな技と方法を模索していくことが不可欠です。人と社会の望ましい未来の実現に向けて不断の挑みを続けていくことは、次世代に対して、今を生きるすべての人びとに課せられた大きな責務であると考えます。
新たなきずなを求めて
社会の変化が速く、また変化の振幅も激しい現在、個々人、地域社会、国ぐにの対等で緊密なつながりは分断されがちな状況にあります。人と社会の望ましい未来にとって、まず何より大切なことは、ひとりひとりの個人が自立し、自らの責任において行動し、社会に貢献することであると考えます。それと同時に、人と人のつながりを再構築し、信頼と連帯で結ばれ、互いに支え合って生きる社会を実現していくことが、これからの大きな課題であると思われます。そのためには、個人の自助・自立を前提に、「他者」との関係を豊かなものとし、従来のような血縁・地縁にもとづく関係を超えた“新たなきずな(柔らかなきずな)”を創りだしていくことが肝要だと考えます。
こうしたきずなを基本とする舞台は、家族や身近な地域社会から国際社会に至るまでの多様なコミュニティに及びますが、それを構成する人や自然・文化をめぐる新たなつながりを探求し、その創造へ向けた取り組みを通して、安心・安全な社会の実現に寄与していくことを目指していきたいと考えます。
安心・安全な社会の実現に向けて
人びとの参加とつながりを促し、新たなきずなの形成を通して互いに支えあう、安心・安全な社会の実現に向けて、以下の点に取り組んでいきたいと思います。
1.支えあいと協働をめざして
私たちは、ひとりひとりが尊厳を保ちつつ、希望をもって生きられる社会の実現を希求します。そのために、多様な価値観やあり方を相互に認め合い、さまざまな国や地域の中に蓄積された知恵を結集し、人がつながりをもって生きうる社会を構築する試みを応援します。とりわけ、将来をになう次世代を育む先駆的な活動を応援します。
2.新たな社会を形づくるために
人びとを取り巻く環境が大きく変わる中、社会を形づくっていくための新たな制度や手法などが求められつつあります。社会運営の主体を国に限らず地域や民間にも求め、それら主体の分担と協調によって新たなきずなを創出することが必要だと考えます。そのために、地域や民間を活動基盤とする意欲的な試みを応援します。
3.たくましい明日を拓くために
今日の世界では、グローバル化の波に乗って広がる環境問題など、さまざまな問題が、人びとや地域社会の安心と安全を大きく揺さぶりつつあります。特定の地域や国ではなく、国際社会全体が直面するこうした問題に積極的に取り組み、いのちと暮らしを豊かにし、未来へとつながる試みを応援します。
4.文化の継承と創造に向けて
ひとは、古来より自然と調和を図りながら日々の暮らしを営み、また、それぞれのかかわりの中から文化を紡ぎだすなど、安寧な暮らしを得るためのさまざまな工夫を行ってきました。こうして培われてきた文化の継承と発展に貢献するとともに、新たな文化の創造に寄与するための取り組みを応援します。
以上の考え方に基づき、現状の課題解決への取り組みのみならず、<いまの課題>の中に潜む将来の<変化のきざし>をつかみ取る課題発見型の取り組みや、現状の変革につながる政策的な取り組みなど、民間助成財団としての特長を十分に生かした先駆的・未来志向的な助成をより一層推進していきます。
2010年6月9日
公益財団法人 トヨタ財団




