公益財団法人トヨタ財団

HOME  >  トヨタ財団について  >  理事長ごあいさつ

トヨタ財団について

理事長ごあいさつ

日頃より、私どもトヨタ財団の活動につきまして、ご理解とご協力を賜り、厚
く御礼申し上げます。2017年度の冒頭にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

昨年度のさまざまな出来事の中でも、とりわけ、イギリスとアメリカの有権者が下した決断に、時代の変わり目となる大きな変化というものを感じます。翻って、我が日本はどうでしょうか。日本の思想や文化の歴史に思いを馳せますと、一つの美質に気が付きます。それは、寛容で包摂的であるということです。飛鳥朝から奈良朝にかけて、仏教が日本に伝来した時も、紆余曲折がありながら、神仏習合(混淆)という柔軟な思想で、日本古来の信仰と外来の仏教の間にうまく折り合いをつけています。また、下って江戸期においても、国学、儒学、蘭学というそれぞれの母体となる宗教や世界観が異なる、当時の有力な三つの思潮が、ヨーロッパの宗教間やイデオロギー間の対立の例にみるような、激烈な争いを繰り広げるということはありません。このような日本人の智慧があってこそ、この海に囲まれた島国の中での決定的な対立を避けることができたのであり、長い時間の中で養われた固有の伝統が破壊されることもなかったのです。

冒頭で述べた、時代の変わり目、大きな変化の内実には、排他性、不寛容さといったものを感じます。かつては多様性や寛容さを重んじていた欧米の先進諸国に、この風潮が広がっているのは気がかりなことです。さらに、この動きが、日本を取り巻く近隣諸国にどのように跳ね返ってくるのか注視する必要もあります。世界の状況が不透明さを増していることは確かです。そのような情勢であればこそ、日本人が自ら培ってきた智慧を拠り所として、国内外の課題に取り組むことが肝要と考えます。それがまた国際社会の側からの日本に対する期待と信頼に応える方途とな
ります。当財団も、─むろん身の丈に合ったものですが─この課題への取り組みの一翼を担いたいと思います。

トヨタ財団の助成プログラムの三本の柱という軸は、2017年度においてもぶれることはありません。学術研究を介して、社会の新たな価値を創り出すことを目指す研究助成プログラム、域内の交流・協力によって、アジアの共通課題を解決しようという国際助成プログラム。そして、「業(なりわい)」という切り口から、日本の地域社会での持続可能なコミュニティづくりを目指す国内助成プログラムです。いずれも、重要なテーマです。現場で研究や活動に取り組まれる助成対象団体と財団プログラム・オフィサーとの二人三脚で、良いモデル、良い事例という成果が生まれることを切に期待します。

もう一つの取り組みとして、2016年度より、NPOの皆さまに、トヨタ自動車の問題解決手法をお伝えする講座「トヨタNPOカレッジ『カイケツ』」を、トヨタ自動車のご協力の下、開講しています。トヨタ自動車が培ってきたノウハウをNPOに橋渡しするという、意義深い試みであり、今年度も引き続き実施いたします。このような従来の助成活動の範疇に収まらない、新しい取り組みにも積極的にチャレンジしていきたいと思います。

古代中国の殷の湯王が、洗面の器に彫りつけ、自らを戒めたとされる「苟(まこと)に日に新たに、日日に新たに、又日に新たなり」という言葉があります。「毎日が新たなものと考えることによって、過去の延長という惰性に、日常が陥らないように」という意味です。私どもも、常に新たな心持で、社会の動きを見つめ、「人間のより一層の幸せ」、「社会の発展」に資するように努めてまいります。

引き続き、皆さまの温かなご指導とご鞭撻をお願いいたします。

2017年4月1日
公益財団法人 トヨタ財団
理事長 遠山 敦子

このページのトップへ