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トヨタ財団について

理事長ごあいさつ

日頃より、私どもトヨタ財団の活動につきまして、ご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。2018年度の冒頭にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

今年は、明治維新から150周年にあたります。NHK大河ドラマ『西郷どん』でも描かれているように、驚かされるのは、明治維新の大舞台で活躍した立役者たちの若さです。1868年の維新の時点で、維新三傑の中で最も高齢な西郷隆盛ですら40歳です。残る二人の大久保利通、木戸孝允、さらには彼らに対して幕藩体制を守ろうとした幕府側の十五代将軍である徳川慶喜、あるいは会津藩主松平容保らもいずれも30歳台です。近代国家を作り、鎖国を終焉させ、西欧列強のひしめく国際社会に乗り出すという大事業を成し遂げた活力の源泉の一つは、この若さにあったのでしょう。当時人生50年時代であったとはいえ、社会を前向きに動かす原動力は、今から見ればその若さと意思と実践の力です。

現在の日本社会においても、この若い力が健在なことを見せたのが、先日の平昌冬季オリンピックとパラリンピックでの日本選手団の活躍でした。映像を通して流れてくる日本選手たちの躍動する身体から、若々しいエネルギーが伝わってまいりました。かのクーベルタン男爵が、「オリンピックというものは、単なる選手権ではない。それは四年に一度の『人類の春』とでもいうべき普遍的な若さの祭典なのだ─ la fête quadriennale de la jeunesse universelle, du printemps humain ─」と語った意味が納得できます。この日本選手団の活躍の結果として、平昌冬季大会ではいずれも過去最高のメダル数でした。2年後に開催される、東京オリンピック・パラリンピックへの良い流れを作ってくれたと思います。

ことに、このメダリストたちの多くが、自らの出身地である地域社会との絆を大切にしている姿にも強い感銘を受けます。例えば、男子フィギュア・スケートで連覇を果たした、宮城県出身の羽生結弦選手は、ご本人の金メダルが、宮城県をはじめとする東日本大震災被災地の人々に、笑顔をもたらしてくれたら、と語っていました。また、「そだねー」という微笑ましい響きの言葉とともに、女子カーリングを戦い抜き、銅メダルを勝ち取ったLS北見の選手たちも、地元で愛されていることがよくわかります。活躍する選手たちとの間に、このような絆があるということ自体、日本の地域社会の秘めた底力を示すものでしょう。

この若いエネルギーを日本社会から一層引き出すには、何をなすべきでしょうか。2018年度のトヨタ財団の事業計画は、この考えもベースに作成いたしました。これまでの国内、研究、国際という助成活動の大きな三つの柱とそれぞれの基本テーマは堅持しながら、絞り込まれたテーマに焦点を当てて助成を行う「特定課題」を機動的に立ち上げる、また助成の対象となる研究者の年齢を若い層にフォーカスする、あるいは過去の助成対象案件を評価したうえで新たなプロジェクトの立ち上げを考察するなど、助成の効果を一層上げるべく新たな試みにチャレンジします。

このところ世界の情勢は、超大国のリーダーたちが強権力を持続するために任期を延ばし、あるいは自国中心主義を赤裸々に打ち出してこれまでの国際秩序を揺るがしはじめました。さらに科学技術の発達は加速度的であり、今やIOTやAIが人間の能力を超える働きを見せ始めるなど、今後の社会や人間のあり方に大きな影響を及ぼそうとしております。21世紀の未来は、予測し難い展開となる予感がいたします。

そうした動きを注視しながらも、トヨタ財団としては設立以来の理念である、「人間のより一層の幸せ」を目指すため、今後とも地道な助成を継続して参る所存です。

2018年度においても、皆さまの一層のご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。

2018年4月1日
公益財団法人 トヨタ財団
理事長 遠山 敦子

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