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成果物『開発協力のつくられ方―自立と依存の生態史―』が出版されました

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研究助成プログラム
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成果物(書籍・論文・映像等)

情報掲載日:2021年10月26日

2017年度研究助成プログラムの助成プロジェクト「ODA失敗案件の「その後」にみる開発援助事業の長期的評価―競争史観から相互依存史観へ―」(代表者:佐藤 仁氏、D17-R-0183)より成果物が出版されましたのでご案内いたします。

開発協力を振り返る研究は、開発協力は「〇〇の役に立ったのか?」という問いかけから始まるのが典型的です。開発協力によって貧困は軽減したのか、識字率は向上したのか、農業生産性は上がったのか、などなど。こうした問い方は、何らかの実践的な教訓を引き出すためには有用かもしれません。しかし、〇〇が問題であるという前提で、その解決手段に議論が集中してしまうと、そもそも〇〇が問題になった経緯や「解決」が生み出した広い影響が見えなくなります。

本書では、いわゆる「問題案件」が20~30年後にどうなったのかを追跡調査しながら、開発協力が「何をしてきたのか」を問うてみました。そこから見えてきたのは、「自立」を目指して行われてきた開発協力が、実は別の次元で、様々なアクターの間に「依存関係」をつくり出している様子でした。依存は必ずしも悪いものばかりではありません。むしろ、自立を下支えしている依存関係もあります。本書を通じて、ODAのそもそも論が新たな形で議論されることを願っています。

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