理事長のごあいさつ
理事長 遠山 敦子

トヨタ財団は、三つの点を特色として財団活動の歩みをすすめてまいりました。
一つには、その設立の目的として、「人間のより一層の幸せを目指す」と謳い、将来の社会とそれを構成する人間一人ひとりの幸せを増進するという高い理念と目標を明示的に掲げている点です。この考え方は財団の具体的戦略を練る際にも、個々の案件を選択するにも生きた指針となっております。そしてトヨタ財団は、時代の要請やこの理念にてらして、折々に助成のあり方を柔軟に見直してまいりました。
二つには、助成対象が学問の区分によらず、アジア地域に目をむけたネットワーク形成や現代の都市型社会で失われてきた地域社会の活力を再生しようとするもの、また、「くらしといのちの豊かさ」を求めての研究助成など幅広く、しかも人間生活の向上を目指す地道な内容であることです。これらはいずれも今後の日本が取り組むべき不可欠の課題であろうと思います。現在は、財団30周年を機にまとめられた中長期構想の下、新装なった船が門出したところです。新しい海図のもとに動き出したこの船が、真に人間と社会の幸福のために寄与する財団であり続けるよう、見守っていきたいと思います。
三つには、この財団がトヨタ自動車という企業の利益とは直接結びつかず、当初より独立の姿勢で貫かれてきたということです。これは、日本における企業を母体とする助成財団の多くがとっている姿勢ではありますが、こうした企業の社会貢献のあり方は、国際的にも誇れる日本の民間団体の特色であると思われます。
公益法人は、国や地方公共団体ではなかなか行いがたい、きめ細かくときに大胆な支援を民間の力で行うことに意味があると考えます。トヨタ財団が広い視野にたち自らの活動を活性化するとともに、日本の民間の社会貢献の力を大いに発揮する契機をつくっていくことができればと念じております。




