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財団からのお知らせ

ベトナムの母子健康手帳普及プロジェクトを訪れました

ベトナムの母子健康手帳普及プロジェクトを訪れました

情報掲載日:2009年11月17日

 2009年10月16日から21日にかけて、プログラムオフィサーの楠田健太が、ベトナムで活動する助成対象者・板東あけみ氏(大阪大学大学院博士後期課程/ベトナムの子ども達を支援する会事務局長)を訪問しました。

 板東氏は日本の公立小学校で、先年早期退職するまで約30年にわたって特別支援学級を担当するかたわら、1990年からはベトナムでの活動を積極的に続けています。トヨタ財団では2006年から現在まで研究助成プログラムにおいて、板東氏を代表者とする、ベトナムで母子健康手帳を全国に広めるプロジェクトを支援しています。

 今回助成プロジェクトが対象とする地域は、首都ハノイから車で約6時間のベトナム最北部、中国国境沿いに位置するハーザン省です。多くの少数民族が暮らす山岳地帯のため、交通の便が悪い、識字率が低い、情報が入りにくいなど、母子健康手帳の普及にとっては厳しい条件を備えている地域と言えますが、逆にここで直面するさまざまな課題を着実に解決していくことで、ベトナム全省への普及にあたって汎用的なモデルを提示できるという意図があります。

 このたびベトナム保健省母子保健局と大阪大学は、共同で同国初の保健省版母子健康手帳を開発し、今年6月から保健省の指導のもとにハーザン省における母子健康手帳の全村展開にむけた各レベルの研修会が始まりました。今回の調査は、省内11郡全195村のなかからそれぞれ地理的条件の異なる12村を選び、省や郡の病院の産科・小児科、各村にある村診療所の医療職員、各集落に配置されている医療ボランティアワーカー、母子健康手帳を使用している妊婦・母親を対象に網羅的なアンケート、ヒアリングを行うことで、母子健康手帳導入直後の実態を把握し課題を抽出、今後の全国展開に活かすことを目的としています。

 板東氏の報告によると今回の調査で明らかになった課題を共有してもらうために、さっそく調査後にハーザン省全郡保健担当代表者会議を省保健局と合同で開催し、公立医療機関だけでなく私立の医療機関への母子健康手帳記載の指示や、手帳受領以前に受けた妊婦健診記録の母子健康手帳への転記の指示など、更なる効率化が推進されたそうです。

 報告者が同行させていただいた調査では、長時間にわたる未舗装路の移動、現地のお母さんたちへの二段階通訳(英語→ベトナム語→少数民族語)など、現地ならではの事情を抱えつつも、代表者の板東氏が行政側の担当者(ハーザン省保健局)や現地スタッフを積極的に巻き込みながら、連携よくプロジェクトを進めている姿や、母子健康手帳を大事にしている母親たちの姿が印象的でした。

 さて、この出張と前後して、ベトナム保健省が策定した「子どもの保健に関する国家計画」の中に、2015年までに母子健康手帳を全省に導入する旨が正式に明記されました。ベトナムは社会主義国家であるため、一度国が決定したことは比較的スムーズに地方に伝播し、実行されやすいという側面をもっています。板東氏個人の想いから始まった地道な活動が、時を経て国をも動かした実例として、今後の展開を楽しみにしたいと思います。

 なお、板東氏のプロジェクトの概要は、財団ホームページの検索ページより「板東あけみ」で検索いただきますとご覧いただけます。

左:字が読めない人も多いため、医療職員の助けを受けながら、アンケートに記入
右:母子健康手帳を使い始めた村の女性たち(ハーザン省ビンスン郡にて)

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